記事一覧

家計管理 家計表とキャッシュフロー表の作成

クレジットカウンセリングにおいては、「家計管理」をいかに行うかが非常に重要なポイントになる。グリーンコープでは「家計表」を作成しながら、相談者との話を進めていく。多重債務者のなかには、借金の存在を隠そうとする方が少なくない。現実を直視するのが怖いからか、トータルで債務がいくらあるか正確に把握しない傾向があり、督促があれば返済するという自転車操業、まさしく車輪を回す鼠のような心理状態に陥っている。したがって家計管理では、収入と支出のバランスに関して細心の注意を払い、生活にどれだけお金を使っているか検証・分析していかなければなちない。家計表については、面談のなかで聞き取りながら一緒に作成する。

生活再生貸付を希望する場合には過去の家計表を2ヵ月間作成していただいたうえで、さらに「キャッシュフロー表」の作成に取り組む。このキャッシュフロー表に基づき、向こう5年間の家計がどうなるか、シミュレーションと説明を行う。そして、支出項目の細かな点検やアドバイスだけではなく、「毎月少なくても5,000円は貯金してください」等と具体的に生活指導をしながら、3ヵ月後にもう一度面談に来ていただき、計画が順調に推移しているかチェックとサポートを行う。債務整理だけで問題が簡単に解決するほど甘い世界ではないので、資金が必要であれば生活再生貸付を行い、そのうえさらに3ヵ月後、1年後というサイクルで面談を繰り返しでいく。

このような生活再生事業を展開していくには、国や地方行政のバックアップがどうしても不可欠である。現在、生活再生貸付の利率は年9.5%であるが、この水準ですら採算がとれるわけではない。生活再生事業については、2008年度からめ協働事業開始に伴い福岡県から約3,000万円の予算措置をいただいているが、それでも2008年度は約500万円の赤字を計上している。県の予算措置がなければ、赤字額は実質的に3,500万円に及ぶ計算になる。2009年度は県の予算措置で収支が均衡した。換言すれば、9.5%の貸付利率でも成立しにくい事業ということになろう。ところが、こうした実情を勘案するこどなく、9.5%の金利は高いと一方的に唱える向きもある。

県の予算措置があるからといって、人件費等をいたずらに拡大しているわけではない。むしろ、コスト管理は厳格かつ徹底的に行っているのが現実である。結果的に、われわれ相談員の給与水準は年間200万円以内に抑えざるをえない。相談員の善意と使命感に依存し、ボランティアに近い形で生活再生事業に取り組んでいる立場からすれば、表面的な金利水準だけをみて批判的な見方をされると、残念という言葉を通り越して本当に泣けてくる。なかには金利水準云々ではなく、生活再生貸付事業そのものへの疑問や批判もある。お金の問題で困った経験のない人たちの意見といってしまえばそれまでだが、今日では高度成長が完全に終焉し、かつての終身雇用制や年功序列制といった雇用・賃金体系が崩壊している。

世界同時不況や猛烈なリストラの嵐が吹き荒れる状況下、だれもが突然生活に困窮する危険性と隣合せにあるといっても過言ではないなか、相談と貸付で救われる事例は多い。リストラの憂き目にあい、生活が困窮しているものの当座をしのげばなんとかなるという場合、金融機関からお金を借りられず、セーフティネットも不十分という現実に耐えられるだろうか。直ちには生活保護受給に結びつかないし、だれもが生活資金の給付を受けられるわけではない。家計表やキャッシュフロー表に基づき家計管理を行っていると、家族に障害者を抱える勤労者の相談を受けるケースが実に多い。

前述のように、毎月の手取り額がわずか12方円という人もいる。金銭感覚のルーズさゆえに多重債務に陥ったわけではなく、まさに貧困の一歩手前の問題に直面している人たちが急増しているが、こうした人たちの救済や生活再生は疑問・批判で済まされる問題だろうか。そして、放置すれば貧困に陥るという問題への対応に手をこまねいていることが社会的に許されるだろうか。その意味でも、グリーンコープどしては、福岡県との協働事業を通じて(貸付を含む)生活再生事業の意義を粘り強く説いていく必要があるし、情報開示を積極的に行い、取組みの真意や活動状況を正確に理解してもらう必要があると肝に銘じている。